OPEN THE WHITE HOUSE

  • 2010.11.26 Friday
  • 09:07

こんにちは、高原です。今日(11月25日木曜日)は、サンクスギビングという、日本のお正月のような休日です。窓から見えるボストンのダウンタウンも今日は交通量も少なくひっそりとしています。
明日は、ブラックフライデーと言って、早朝からショッピングセンターがオープンして、賑わうようです。これからクリスマスに向けて街のイルミネーションも増えてきて、ますます活気付くのでしょう。

ところで、学生としての成果の一つをご紹介させてください。スタジオの課題は、世界中の歴史的な建築を自由に選定し、リノベーションするという課題です。
せっかくアメリカに来たので、実際に携わることがないだろう、「ホワイトハウスの改修計画」を提案しました。タイトルは「OPEN THE WHITE HOUSE」


現在ホワイトハウスは、2001年9月11日以来、ビジターの見学は中止されています。ただ、近い将来必ず再開されることを願って、その時のための改修として、私たち建築家に何ができるのか?また、その時を促す提案はできないのか?というのが選んだ動機です。

ホワイトハウスは、建築としても本当に多くの機能を担っています。初代大統領ジョージワシントンの指揮の基、ワシントンDCのマスタープランに呼応して、1792年に建設が始まり、2代大統領ジョンアダムスから今の44代大統領バラクオバマに至るまで、まさにアメリカの歴史の真只中に常に存在していました。そしてこれからも世界のあらゆることに関わってゆくことは間違いないでしょう。




ホワイトハウスは、言うまでもなくPRESIDENTの住まいあり、オフィス機能、、ホテル機能、コンベンション機能、さらにはシェルター機能・・・など建築のあらゆる機能を必要としています。そして、建築様式としては、外観はLATE GEORGIANスタイルですが、内装は、歴代の大統領(主にファーストレディー)の好みで幾度も改修が加わっています。興味深いのは、実はホワイトハウスの外壁素材は白ではなくサンドストーン色です。(AQUIA SAND STONE) 1812年、イギリス軍との戦いの際に火災にあい、外壁の汚れを隠すために、白にペイントされています。以来、ホワイトハウスというニックネームがついたようです。オフシャルには1901年26代大統領セオドアルーズベルトが正式な書簡にホワイトハウスという名を使ったようです。
また、35代ジョンFケネディーの妻ジャックリンケネディーが、改修のためのデザイン委員会を設立して、以後この委員会が改修デザインをコントロールする役割を担っています。


アメリカに来たての私にとっても、アメリカの歴史を勉強する良い機会でもあり、同時に、自分自身のデザインポリシーでもある、グローバルな視点と人目線を具現化する良い課題で、楽しく取り組みました。



さて、もうひとつ、今回とても楽しく、苦労?したのは、CADのオペレーションです。
20代のころ、CADがようやく出始めたころのには、案外好きでDRA CADを操作していたのですが、ここ20数年は、もっぱらお願いする方でした。
ちょうど、今注目のBIM(ビルディングインフォメーションモデル)の3次元CADシステムREVITをもうひとつの講義で取っていたので、これを使ってプレゼン資料の作成に挑戦してみました。

ただ、始まってみるとこれがなかなか・・・楽しい苦悩で・・・当然ですがマニュアルはすべて英語で、その上3次元なので、データーが重い。自分のノートでは、ハードがついて行かない・・・など悪戦苦闘しましたが、とても温和で年配のドイツ人(息子が40歳らしい)のCAD担当教授に励まされ、優秀な美人のアメリカ人講師や今年MTIDAを卒業して、今はボストンアーキテクチャーカレッジ(BAC)のマスターにいる陽介君はじめ多くの人の助けををもらって、どうにかそれなりには使えるようになりました。
とても優秀なソフトであることは確かです。基本から現場まで一貫してできるだけあって実務的でかつ、奥の深いツールです。

余談ですが、オペレーションと葛藤していると、日本にいたころ、夜9時ごろに、所員の描いたCAD図面を見て、「うーんここ少し明日朝までに訂正お願い・・・」、「すぐやろ?」と言っていた自分がとてもひどい人だったようで・・・いまさらですが、みんなごめんなさい。。。自分でやってみて実感しました。

手書き崇拝世代に育っていますが、CAD機能の限界と可能性をさわり程度ですが実体験できたことは、非常に良いことでした。


クリティークではセキュリティーに関しての質問が異常に多いです。ホワイトハウスですから当然ですが、日本的には、どこか心の片隅で、それは運用の問題でしょ。と思ってしまうところがあるのですが、当然のことながら建築的な解決方法の説明が執拗に求められます。

ここでは、ビジターセンターに改修する3階は、オープンなプランニングとしています。
カフェもあるのですが、厨房ではなくオープンキッチンとして、ファーストレディーと一緒にホームパーティーという設定も描いてみました。



真ん中のオーバルの部屋は、メインダイニングです。
周囲を水の張ったテラスに囲われ、VIP会議のときも、両サイドのラウンジ、カフェをオープンにして水による動線のコントロールと防弾ガラスで、セキュリティー強化をする。というデザインです。

通常は、すべてがオープンで下図のように、水を抜いて、オープンテラスとして利用します。





エコボイド、エコはイコと発音した方が通じやすいですね。
環境手法は、やはり日本が一歩リードしているかな?という感じです。ここでもセキュリティーチェックにシースルーエレベーターを使う説明しました。ちょうど、テロ対策強化で空港でのレントゲンチャックが厳しくなる中ですので。本当は、自然通風システムや太陽光発電ガラス、光触媒に興味を示してくれると思ったのですが。。。

レンダリングで苦労されている方は多いでしょう。特に、REVITクラスになると、32ビットの大学のCPUでは、レンダリングが終わらない。今回も時間切れで、手書きとのハイブリッドパースになりましが、これも、環境のコンセプト、「プリミティブな環境手法と最先端の手法のハイブリッド」が今の時代は重要です。とこじつけ?の言い訳で押し通しました。



このスパイラルの模様は、トップライトが創りだす光のパターンです。両サイドのカフェとラウンジは、20世紀の象徴である水平なマリオンを持ったカーテンウォール(ライトシェルフにもなっているのですが)に、歴史的な文様のスクロール(SCROLL)とリンケージをイメージして、21世紀のダイナミックなパターンとしてデザインしました。

中心に配置したメインダイニングは、より歴史的なスタイルに敬意を払いながら、照明には、私がここ数年固執している、「二酸化炭素を食べる照明器具」 をアレンジして提案しました。言い続けていればそのうち日本の優秀なメーカーさんが必ず開発してくれると信じています。





英語で言いたいこと表現する。これは、今回の渡米の直接的な目的でもあり、良い勉強になりました。プレゼンの最後に、学生のみなさんに向かって、「あなたたちがぜひ将来ファーストレディーになって私にkのプロジェクトを依頼してください!!!」と笑いを期待して言ったつもりが。。。
おそらくFIRST LADY?の発音が悪く、LとRの発音がカタカナ英語なのでしょう。笑いが取れなく冷や汗でした。(笑)まだまだ修行が足らんです。


今回、私の渡米の目的を一言でうまく表現してくれた人がいます。2000年に九大新キャンパスプロジェクトで、協同した、SASAKI アソシエーツのMS.TAKAKOさんです。彼女が描いてくれた私たちの交流会ロゴ、とても気に入って今回のプレゼンボードにも使わせてもらいました。「ハイヒールを履いた丑の後姿」 今回の渡米で「後ろ姿(内面)を美人(美男)にしたい」。まさに私たちの渡米の目的にぴったりです。彼女とは偶然にもボストン日本人会の会合で再会し、以来、浅井ともどもとても楽しく交流しています。この交流会(SABUROKU会)の楽しい企画報告はまた近々UPします。ご期待ください!




















コメント
まさか高原さんが私の第二の故郷、ボストンにいらっしゃるとは思いませんでした・・・
色々とご奮闘のご様子ですが、学生生活を楽しんでいらっしゃるようで何よりです。そして意外にCADは時間がかかることもご理解いただけて光栄です!
大いにボストン生活を楽しんでらしてくださいね。
私?JMAでお世話になった、ハセガワでーす。
  • tomomi
  • 2010/12/22 1:17 PM
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