ボストン アートの街1
- 2010.09.26 Sunday
- 12:12
ここへ着てからの気付いたんですが、私達の住むブルックラインビレッジから、
なんと、歩いていける距離に日本の貴重な美術品の宝庫でも有名なボストン美術館があったんです。こんな近くに気軽にボストン美術館へいけるんなんて、やっぱり、うれしい。
そして、ボストン美術館といえば、1週間前の土曜日に表具士の『脇屋助作』さんという方の講演会に参加してきました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、脇屋さんは多くの日本の国宝や重要文化財の修復にご尽力されていて、今回、ここボストン美術館に、所蔵されている日本の美術品の修復や指導者として来られているということでした。
脇屋さんのイメージはとても気さくて温和な感じ、そして、修復の仕事がとても好きで、仕事に関しては貪欲、国宝級の仕事をすることに関しても物怖じせず、やってこれたと柔和な顔とは別に芯の強さを感じました。
そんな脇屋さんが、今回ボストン滞在2年の予定が1年で帰国することになったということです。
脇屋さんの残念そうな一言が、私の心に残っています。
『引き出しを開けて見せたのに、出させてもらえず、帰国することになりました』 と。 by asai
脇屋さんは、テレビ取材も多くカメラを前にして、重要文化財級の修復をされることも多いそうですが、その時でもまったく緊張しないそうです。ただ、描かれた絵に引き手を入れるため、絵にナイフを入れる時は胃が痛むほど緊張されるとのことで、このコメントには、とても考えさせられるものがありました。
私たち建築の仕事では、長年培われてきた古いものを壊す。ことに鈍感になっていているような気がします。新たな創造物を生みだす私たちの仕事には誇りは持ってはいるのですが、自然も含め、もっと今あるものを壊す時には、胃が痛むほどの緊張感を持って、提案してゆくことが必要だなと感じました。
脇屋さんには貴重なお話を聞かせていただき、そして企画いただいたボストン日本人会の皆様 ありがとうございました。 By Takahara